最後にフランクフルトのブックメッセに足を運んだのはおそらく2004年の秋のことだったと思います。それから三年間、取引先の皆さんから、中国人が増えただの、ますますホテルがとりにくいだの話は聞いていたものの、出版という文化そのものの変化に連れ会場の一部ではざわざわと異変が起こっていたことは耳にはしませんでしたが、実情を想像するに難くはありません。googleが6年間で1500万冊の書籍をデータ化し、オンライン上で誰もが閲覧できるようにすると発表したのが、僕が最後にフランクフルトを訪れた直後、2004年の11月だったからです。この本の著者はつい数ヶ月前までフランス国立図書館の館長だった人間です。彼が指摘するgoogleプリントの脅威と問題点は明快です。アメリカ資本であるgoogleの書籍選択による必然的なアングロサクソン文化優先。当然英語のものが主体となり、必然的に英語で記された書物が文化的スタ