中国SF界に颯爽と現れた著者の第2短編集『母の記憶に』から7編を収録した作品です。従って全作品が既読だったのですが、新たな発見も多く予想外に楽しく読めました。 「烏蘇里羆(ウスリーヒグマ)」 1907年の満州。帝国陸軍の命で恐るべき巨大熊を捕らえるため機械馬を駆る男は、両親の仇でもある巨大なウスリーヒグマに遭遇。機械化した腕を持つ男と、変身能力を持つヒグマとの闘いの行方は、意外な展開になっていきます。第1短編集『紙の動物園』に収録された「良い狩りを」の系譜に連なる作品ですが、こちらでは抒情性より不気味さが増しています。 「長距離貨物輸送飛行船」 飛行船が主な輸送手段になっている世界。個人所有の飛行船で6時間ごとに運転を交替している夫婦の「すれ違い愛」が描かれますが、アメリカ人の飛行船所有者が拾い上げて妻としたアジア人少女の逞しさが際立っています。 「存在(プレゼンス)」 脳卒中に倒れて入院
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