幻想的、不可思議、哲学的、病的、魔術的、悪夢、叙情的…クエイ兄弟のアニメーションの代表作『ストリート・オブ・クロコダイル』(1986年)は、多様な印象を与えます。それは彼らがヨーロッパの文学や音楽、美術やグラフィック・デザイン、建築やダンス、オカルトや病理学などに広く典拠しながら、複層的な美の世界を創り上げているからです。 一卵性双生児として1947年にペンシルヴァニア州ノーリスタウンに生まれたクエイ兄弟は、フィラデルフィア芸術大学(PCA)に進学して、「ポーランド・ポスターの芸術」展(1967年)を目撃し、東欧の文化芸術に強く魅せられます。その後、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)でイラストレーションを専攻し、東欧の文学や音楽にも一層親しみながら、アニメーションの制作を始めます。 『人工の夜景―欲望果てしなき者ども』(1979年)以降、彼らはロンドンを中心に、コラージュ