通販企業に勤める女性3人組、榊理恵と藤野香織と中津川あや。いつものように、ダイニングカフェで通販談議に華を咲かせているかと思いきや――。 「なんか今日は静かだね」。マスターが声をかける。「理恵と香織に元気がなくて」と、あやは少し不満げな顔を見せる。「あやは最初からネット通販企業で働いているから、私たちの気持ちが分からないのよ」と理恵が怒るでもなく、ため息をつく。「ネット通販は拡大基調にあるけど、カタログ通販は苦戦しているのよ。私もバイヤーとしてカタログ製作に関わる立場だから、今後どうしていけばいいか、頭を抱えていて」と香織が漏らす。 「仕方ないじゃない。ネットで探せば大抵のものは見つかるし、即座に購入できるんだから。カタログより圧倒的に便利なのだから、みんな、ネットで買い物するわよ」。あやはこう言って、さらに続けた。「ちゃんと現実を見ましょうよ」。 消費者を対象とする総合通販の2強、千趣会