むかしむかし、作曲を勉強をするにあたってチェロを買ったことがある。 とは言っても、チェロで作曲をしようというわけではない。 作曲をする道具としての楽器は「ピアノ」に尽きるが、オーケストラの基本は何と言ってもヴァイオリンを頭にする「弦楽器群」である。 そこで、弦の響きを体感し、同時にボーイングや特殊奏法などの研究をするためのサンプル(実験素材)として、楽器店に飾ってあった格安のチェロを衝動買いしてしまったようなわけなのである。 だから、演奏できるわけではない。最初はバッハの無伴奏チェロ組曲くらい弾いてみようかとも思ったが、すぐあきらめた。ピアノとは全く逆に、左手指で音程をとり、右手は弓を握るだけ…という奏法に頭がついていけなかった(拒絶した)のかも知れない。 その後はずっと、「管弦楽法」の本を読みながら、駒の近くを弾く(sul ponticello)奏法とか、胴を叩いたり駒をきしませたりする