第二夜 こんな勝間和代を見た。 読み終えた本を持って図書館へと足を踏み入れると、いつもなら満席なはずの閲覧席には誰も座っていなかった。はっとしてあたりを見回すとカウンターのなかに職員すらおらず、どういうわけか自分がこの空間のなかにただひとりいることに気がついた。すると通いなれた図書館がどうにも知らない建物のように思えてくる。 さて、どうしたものだろう、としばし佇んでいると両脇を本棚に囲われて一層薄暗くなった通路の奥から、一条の光が細く零れているのが目に入った。近づいていくと、光は半開きになったドアの隙間から漏れている。隙間からドアの向こうを覗いてみると、その先は長いトンネルのようになっている。電灯などないのに不思議とそこは明るかった。しかし、その先に何があるかは見通すことができなかった。 「起きていることはすべて正しいのです」 トンネルの奥から、妙に凛々しい女性の声が響いてくるのが聞こえた