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ブックマーク / kasasora.hatenablog.com (1)

  • 午前二時の牛丼屋で生き別れの姉にビールを奢った話 - 傘をひらいて、空を

    彼がいつものように深夜の牛丼屋のカウンタを拭いていると、女がひとり入ってきた。客はほかにいなかった。彼女は牛丼と瓶ビールを注文し、彼はその顔を見て凍りついた。彼女は目を見開き、それからにっこりと笑って、彼の名を呼んだ。ここで働いてたの、びっくりした、でも元気そうねえ、よかった。 彼は狼狽のあまり思考を停止し、職業上の動きを自動的に再現して、彼女の注文したものを出した。彼女は間違いなく彼の姉の顔をして、彼の姉の声をしていた。最後に声を聞いてから五年分の年月を、しっかりと身にまとっているように見えた。そうして彼には姉がひとりで深夜の牛丼屋に入るとはどうしても思えなかった。 だから彼の前には知らない女がいて、彼の姉がいて、彼にはそれが同一人物であることが、どうしても理解できなかった。彼女はうれしそうにビール瓶をかたむけた。ビール!嘘だ、と彼は思う。 彼の姉は高校生になってもこっそり酒を飲んだりな

    午前二時の牛丼屋で生き別れの姉にビールを奢った話 - 傘をひらいて、空を
    moet-bois
    moet-bois 2011/05/15
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