結論から言えば、殺意(確定的殺意も未必的殺意も)を立証することができなかったからです。 仮に、殺意を立証できていれば、検察は死刑を求刑していたでしょう(∵ドンキホーテの防災管理上の不備等を考慮しても、憂さ晴らしという身勝手な動機による犯行であるため)。 現住建造物放火罪の法定刑は「死刑又は無期又は5年以上の懲役」であり、放火は一般的に重罪なのですが、最高刑に死刑を規定している点については、建前にすぎません。 条文上は、殺意がなくても、もっと言えば、死者すら出ていなくても死刑を科すことができますが、事実、ここ30年で、殺意なく放火して人を死亡させた被告人に、死刑判決が出た例は1件もありませんし、死刑を求刑された例もありません。 放火であれ、強盗致死であれ、殺意がない致死犯罪の場合、条文上はともかく、事実上は死刑になることはないのです。 その例をいくつか挙げておきます。 ・新聞販売店に放火し、