安倍元総理は、とても人柄がよかったと聞く。明るく朗らかで、腰も低く、誰とでも気兼ねなく接した人だったという。彼をよく知る人たちも、直接は知らない人たちも、誰もがその人柄をしのび、悼んでいる。 赤木雅子さんの覚悟「夫婦そろって日本に殺された。でも、私はまだ生きている」 安倍さんほど、亡くなってからその死を惜しまれた総理経験者は、まれではないか。見栄えがよく、若々しく、物おじしない態度はサミットなどで外国の指導者たちと並んでも遜色なかった。そんな彼の姿を見て、誇らしいと感じた人も多かっただろう。 彼に人間的魅力があったことは確かだろうし、得難い人ではあったと思う。 だが、人柄だけですべてを語ることはできない。彼は公人であり、この国の政治的責任者だった。 有名人が亡くなり、世の中が“追悼モード”になると、日本人はすぐに人柄と業績をいっしょくたにして、“不都合な真実”はすべて水に流してしまう。人と