青山学院大学 大学院国際マネジメント研究科 教授 須田敏子 日本企業の中でダイバーシティ(最近はダイバーシティ&インクルージョンともいう)に対して急速に関心が高まってきている。だが、欧米諸国に比較すると日本での取り組みは遅れているといわざるをえない。 日本でダイバーシティが進展しない理由は数多いが、ひとつには日本型人事制度とはフィットしないという問題がある。そこで本連載では日本型人事制度との関係から、日本でダイバーシティが進展しない理由を考えてみる。 日本型人事制度の特色としてまず挙げられるのが、長期雇用である。そして長期雇用にフィットした施策として新卒一括採用、年功制、ローテーションを含む内部人材育成・内部昇進などの特色がある。この人事システムは、長期雇用によって社員の生活基盤を確保し、さらに年功的処遇によって多くの社員に対してある程度の出世を可能とすることで、会社へのロイヤルテ