黒沢清『トウキョウソナタ』 映画史上最高傑作・・・。という言い方にリアリティがなければ、日本映画史上最重要作と言い直そうか。なんだか決定的な1本を観てしまったような気がする。 ただしここに保留をつけておきたい。その重要さは、911以後の世界であり、バブル崩壊以後の虚構の景気回復下で細々と、けれどそこそこの幸せは享受できてしまう、盤石なしの日本現代社会だからこそ意味がある。 このような映画が、作られなければいけなかった現代を、私は深く怨む。こんな映画が生まれてしまう現代日本が心底憎い。 あまりにも巨大な傑作を観てしまったとき、蓮實重彦に映画を学んだ(つもりの)者としては、その映画を観るために世界の飢餓はあったのだ、とか、その映画が生まれたならば、この戦争も無駄ではなかったとか、たとえばそうしたレトリックを使ってしまいかねない部分がある。 けれど、父が父らしく、母が母らしく、子が子ら
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