もう何年も前の事になる。 仕事の都合である地方へと越す事になったときの話だ。 支社は小さくて、事務の子は新卒で入った子らしくて小柄でかわいらしい子だった。 同世代が俺と彼女としか居ない事もあって、それなりに仲良くなったんだ。 そんなある日の事、俺がいつも自販機でお茶を買っているのを見て「水筒持ってくれば節約になりますよ」的なことを言ってきた。 面倒くさくてね、と俺が答えるとその子はちょっとだけ考える素振りを見せて「私、水筒なんですけど、よかったら○○さんの分も持ってきましょうか?」 そう提案してくれて、悪いかなと思ったけれど「大丈夫です、ひとつもふたつもそんなに変わらないですから」そういって笑ってくれた。 次の日からその子は俺に水筒を渡してくれて、「はい、すいとーよ」と、その子はいつも笑顔でそう言って俺に水筒を渡してくれた。 俺はいつも「ありがとう」と言って水筒を受け取り、休日には何度か一
![「すいとーよ」](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b1638cdb5807a4788e4ba3c1109a984166e095fc/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fanond.hatelabo.jp%2Fimages%2Fog-image-1500.gif)