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  • ずっとバレーボールをしていたい。でも、いつか終わる。 バレーバスケ部最終章5 - 森の奥へ

    ※えーっと、今回は親バカ記事です。合わない方は読まれない方がよいかと。 今日は2戦2敗でした。 敗者復活戦でも敗れたので県大会には進めませんでした。 いつか終わる。 明けない夜がないように、暮れない昼もない。 いつか終わる、いつか終わる。 みんなそれを知っているのに気づかないふりをしている。 頭だけ隠して、見なければそれがなかったことになる、と信じているかのように。 長男Mの高校、歴代最後の男子バレーボール部。 チームが負ければ、試合をすることも、部も、高校自体も、終わる。 試合後、キャプテンの動きは慌しい。 気持ちの整理をする時間などない。 応援席の私たちに対して、Mの号令でメンバーが礼をする。 その後、Mはもう一度こちらに向かって軽く一礼した、ように見えた。 そして、コートを後にした。 ずっとバレーボールをし続けることなんてできっこない。 いつか終わる。 Mがこのメンバーと同じコートに

    ずっとバレーボールをしていたい。でも、いつか終わる。 バレーバスケ部最終章5 - 森の奥へ
  • 願いを叶える天使と悪魔。南の島の怒りん坊の王様。 (創作超短編小説2編) - 森の奥へ

    願いを叶える天使と悪魔。 すべてに絶望し、自らの命を絶とうとしている男がいた。 そこに、天使が現れて言った。 「ひとつだけ、あなたの願いを叶えてあげましょう」 男は答えた。 「俺に夢をくれ」 天使がウインクすると男には夢が生まれた。 夢は男に生きていく希望を与えてくれた。 夢はなかなか果たせない。 男は自分の不運を嘆き、力のなさを呪った。 男は絶望し、自らの命を絶とうとした。 するとそこに、今度は悪魔が現れて言った。 「ひとつだけ、おまえの願いを叶えてやろう」 男は大喜び。 天使に与えてもらった夢を悪魔に告げた。 悪魔が空に向かって口笛を吹くと、即座に夢は現実になった。 ところが男は夢を失い、生きていく気力をなくした。 すべてに絶望した男は、、、 南の島の怒りん坊の王様。 南の島に怒りん坊の王様がいました。 怒ってばかりなので、いつも顔が真っ赤です。 おでこからびっしょり汗を噴き出させ、よ

    願いを叶える天使と悪魔。南の島の怒りん坊の王様。 (創作超短編小説2編) - 森の奥へ
  • 良薬 (創作短編小説) - 森の奥へ

    良薬は口に苦し。 つまり、よく効くクスリは不味い。だから我慢して飲め。 ということでしょうか。 昔の人の言葉だと思います。 こんな無茶苦茶なことをよく平気で言っておられたものです。 最近では医療が発達し、一方で医薬品のPR戦争もいよいよ激しさを増してきております。 ですので、そうそうのん気なことを言ってもおられなくなってきました。 なんと言っても、飲みやすいのが良薬です。 さらに言えば、薬だと意識せずに飲めるのが最高の良薬です。 いわく。 「赤の錠剤は胃腸薬です。いちごの味がいたします。黄色の錠剤は頭痛薬です。レモンの味がいたします。青の錠剤は・・・」 いわく。 「お水でごくん、などと飲み込まれる必要はございません。当社の栄養補給剤はそのままべられます。お子様のおやつにも・・・」 いわく。 「新発売!! ガムを噛みながら便秘が治せます」 いわく。 「下痢止め薬が入ったカレーです」 いわく

    良薬 (創作短編小説) - 森の奥へ
  • 子供の頃、わらほうきでホタル狩りをした。 - 森の奥へ

    今朝の午前7時過ぎのことです。 職場近くの公園をのんびり歩いていると、おじいちゃんに声をかけられました。 天気が良くて気分も良くて、そのまま出勤するのがもったいなくて、公園の中に設けられたビオトープに沿った遊歩道を歩いていたときのことでした。 「メダカが泳いでいますよ」 と、おじいちゃんは話しかけてこられました。 人工のせせらぎの浅瀬を見ると、まず目についたのはアメンボウでした。 写真ではよく分かりませんが、アメンボウの下を丸々と肥えたメダカらしき魚が群れを成して泳いでいました。 あまりに肥えすぎていて何か別の魚のようにも見えますが、おじいちゃんの言葉に反論する理由もありませんので、「そうですね」と応えました。 するとおじいさんは、「ホタルもいますよ」とおっしゃいます。 どうやら私はおじいさんの体の良い暇つぶしの相手になってしまったようです。 立て看板がありました。 写真だけ見ると自然豊か

    子供の頃、わらほうきでホタル狩りをした。 - 森の奥へ
  • 空から降ってきた・・・ (創作短編小説) - 森の奥へ

    寒くて目が覚めた。 僕は手足をぎゅっと縮めて身体を丸くした。 鼻先に何か当たる。むずがゆい。 背中もチクチクする。 誰かが突っついているみたいだ。 まったく。ひとがせっかくいい気分で寝てるって言うのに・・・。 悪戯するのだれ? でも、目を開けないぞ。まだまだ眠いんだから。 このまま瞼を閉じていれば、またすぐに眠れるさ。 でも、背中がなにか変な感じ。気持ち悪い。 背中で何か踏んづけてるのかな? ゆっくりと身体をずらして、変な感じがする辺りに手を伸ばしてみた。 なんだ? これ。 チクリとしたその感触に、身体中に電気が走ったみたいになって僕は飛び起きた。 毛布だと思っていたのは、ギザギザの葉っぱやツンツンした茎なんかが丸まった草むらだった。 それと、さっきから僕の鼻を突っついていたのは、へし折れて倒れてきたススキの穂先だった。 僕はじっと目を凝らして辺りを見渡した。 薄暗くて、何があるのかよく分

    空から降ってきた・・・ (創作短編小説) - 森の奥へ
  • 我が家のクスリ箱 (創作短編小説) - 森の奥へ

    えっとクスリ、クスリ・・・ 「ねえ和子。クスリ箱どこにあるのー」 久しぶりの病気だった。 頭が割れそうに痛い。そして胃が重い。心臓の鼓動がこめかみを切り刻んでいる。体を動かすたびに、頭の芯に釘を打ち込まれるような激痛が走る。生唾が口の中に広がってくるのは、吐き気を催す前兆なのだろうか。 和子の返事がない。 もっとも、大きな声を出すと頭に響くので、ささやくような声しか出せないでいるのだが。 和子は珍しく僕より先に布団から抜け出すことに成功し、トイレの方へダッシュして行ったきりまだ帰ってきていない。こんなに早く起きるなんて、ようやく主婦としての自覚にめざめたんだろうか。 「テイケツアツ」という、心の病気なんだか体の病気なんだかよく判らない病名を自ら名乗っている和子は、いつも朝が大の苦手である。と、言うことになっている。クスリを飲めばいいのに、なぜかもったいないと言ってそのままにしている。 「テ

    我が家のクスリ箱 (創作短編小説) - 森の奥へ
  • シャワーを浴びる方法。 (創作短編小説) - 森の奥へ

    不動産屋の車で案内されたマンションまでは、駅から徒歩15分と聞かされてはいたが、実際に歩けばもう少しあるように思えた。 1階にはコンビニが入っていたらしいが、締め切られたシャッターはどこかで見たスプレー画の落書きで賑やかに彩られ、真ん中に貼り付けられた「閉店のお知らせ」の末尾には1年ほど前の日付が記されていた。 日当たり良好と紹介された南向きのリビングの窓、それは5階建てのマンションの2階部分にあったが、そこからは、幹線道をひっきりなしに行き交う長距離トラックとそれらから排出される騒音や排気ガスがじっくりと眺望できた。 男がそれでもこの部屋を借りることにしたのは、この日、これでもう5軒も回ってきて疲れてきたから、というわけでも、仲介した不動産屋が家賃を少し割り引いてくれたからでもない。 浴室の広さ。多少の手入れは必要と思われたが、男は第一にその広さに納得したのだった。 ここならゆっくりとシ

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