赤松利市著『ボダ子』 共感なんてできない問題作『ボダ子』 63歳の新人作家が描く心臓をえぐる実体験小説『ボダ子』。 今、私は読み終わって、呆然と上を向き、しばらく言葉を発することができなかった。 衝撃作という手垢にまみれた表現を使いたくないけれど、あいにくと、この脳みそでは他の単語が思い浮かばない。 「63歳、住所不定の新人。異能の作家が実体験をもろに描いた正真正銘の問題作」 本の帯には、思わず手に取りたくなるキャッチコピーがあった。 63歳で新人作家デビュー? その上、ホームレスで、さらに、帯には「あらゆる共感を拒絶する極限を生きたある家族の肖像」とある。 ひょんなことから、私は、この作家赤松利一氏のインタビュー記事の依頼を受けた。そして、彼の自伝的小説「ボダ子」ほか数冊を読んだ。 仕事としてインタビュー記事を書く場合、一応の基礎知識を取材してから挑むことにしている。 作家の場合なら著作