日本のみならず、韓国、モンゴル、インド、アメリカなどで、国内メディアからはタブー視されてきた屠畜(屠殺)事情を取材したイラスト・ルポルタージュが、ノンフィクションとしてはヒットといえる2万5000部を発行して、話題になっている。タイトルは、『世界屠畜紀行』(解放出版社)。この骨太なテーマに挑んだのは、意外にも女性。現在、朝日新聞で連載小説のイラストを手がけるなど、売れっ子イラストルポライターの内澤旬子さんだ。では、なぜ屠畜取材を? さっそく本人を直撃してみると、いわゆる「知らなければならない、つらい現実に目を向ける」という姿勢ではなく、純粋に屠畜への関心が高かったのだという。 「たまたま旅行先のモンゴルで内臓の腑分けを見て、『解体を、もっとちゃんと見たい』と思ったのが直接のきっかけだったんですが、もともと子どもの頃から解剖が好きだったんですよ。高校時代も、文系クラスにいたのに、カエルの解剖