アメリカの歴史の中で最も偉大な大統領は誰か。二〇〇一年二月のギャラップ世論調査では、ケネディやリンカーンを僅差で抑えてレーガンが「史上最も偉大な大統領」に選ばれている。 レーガンほど評価が分かれる大統領も珍しい。著者である村田晃嗣教授が語るには、一方で共和党右派やネオコンからは「崇拝の対象」となり「神格化」が進むレーガンは、他方で「知性に欠ける元B級映画俳優と軽蔑され、危険なタカ派」としてこれまで執拗(しつよう)な批判にさらされた。レーガンを語ることは現代のアメリカを語ることである。レーガンをめぐる評価の分裂は現在のアメリカ社会のイデオロギー的分裂を示しているのかもしれない。 そのような中で、著者のレーガンに対する評価は実にバランスがとれており、信頼できる。謎の多い矛盾に充(み)ちたレーガンについて、著者は「アメリカのスフィンクス」と呼び、その光と影の両面を適切に描こうとする。「レーガンの