5月10日、南アフリカ・ワールドカップメンバー23名が発表された。そのリストの中に、今季好調を維持していた小野伸二、昨年のJリーグMVPの小笠原満男の名前はなかった。そして、また多くの人が復帰を熱望していた加地亮の名前もなかった。 「代表引退しているんで初めから期待もしてないし、別にどうこう言う気持ちもない。自分の中では、ずいぶん前に整理がついてることなんで。代表に名前が上がったりしたのは嬉しかったですけどね」 加地は、冷静にそう語った。 加地は、ジーコ代表の時、不動の右サイドバックとしてプレーし、ドイツW杯に出場した。オシム監督時にも代表に選出され、アジアカップではレギュラーとしてプレーした。しかし岡田監督になり、2008年5月20日、突然、代表引退を宣言した。それは、あまりにも唐突で不自然だった。 彼にとってサッカーは“仕事”だった。それは家族を養うためのものであり、だからこそ苦しくて