母の葬儀の後、弟と一緒に遺品整理をしていた。2015年の冬の事だ。その時出てきたのがこれらの写真だった。子供時代のオレが、着ぐるみの怪獣たちと一緒に映っている写真だ。中央の、熊の絵の鉢巻きをして、不安そうな顔で明後日の方角を観ているのが子供の頃のオレだ。子供の頃、とは言っても、幾つぐらいで撮った写真なのか正確な所は憶えていない。4歳なのか、5歳なのか、6歳なのか、はたまた7歳なのか。まあ、その位の年の写真という事だ。 場所は、当時地元で一番大きなデパート、その名も「高林デパート」の屋上だ。ちなみに「地元」というのはオレの生まれ育った北海道の、稚内という街だ。知ってる方も多いと思うが、稚内というのは日本の一番北の街だ。海の向こうにはロシア領のサハリンが見える。要するに限りなくロシアに近い土地なのだ。サハリンは第2次世界大戦前まではその半分が日本の領土で、樺太と呼ばれていた。それが終戦間際に当