僕が若かった頃のことだ。「国を、社会を変えたい」という志を持つ若者がたくさんいた。彼らは、革命を目指して学生運動に燃え、ジャーナリストや物書きになる、というのが常であった。しかし、いまの若者は、昔と比べだいぶ変わってきていると、最近感じるのだ。 そのような志を持ついまの若い世代は、何が違うのか。まず彼らは、起業することで、つまりはビジネスを通して、社会を変えようと考えている。もちろん適正な収益は目指す。だが、がむしゃらに稼ぐのではなく、社会全体の利益を重視するのだ。ソーシャルビジネスである。 その先駆けは、駒崎弘樹さんだろう。彼は、NPO「フローレンス」の代表だ。フローレンスでは、一般の保育園があずかってくれない、病気になった子どもをあずかる「病児保育」をおこなっている。 なぜ、そんなことを始めたのか。ベビーシッターの会社に勤務していた駒崎さんの母から、お得意さんが会社をクビになった話を聞