差別の問題は、簡単ではない。 誰かが特定の言葉を発したことをもって、ただちに差別と断定できるのかというと、必ずしもそうは言えない。 文脈によって、あるいは、その言葉を使った人間と使われた人間の関係によって、言葉の持つ意味は、いつでも、微妙に変化するものだからだ。 当然、差別の有無についての判断も、ケースバイケースで、その都度、個別に、その言葉が使われた特定の文脈とワンセットの事案として評価されなければならない。 ここまでは良い。 私自身、画一的な基準で強要されるいわゆる「言葉狩り」には、反発を感じることが多い。 つい先日のアメリカの大統領選挙でも、トランプ氏を勝利させることになった要因のひとつには、前世紀以来アメリカ社会を席巻してきた「ポリティカル・コレクトネス」に対する、合衆国国民の反発があったと言われている。 つまり、洋の東西を問わず、誰かの言葉尻をとらえてそれを大勢でよってたかって批