先日の中教審の答申で、道徳の「特別教科」化が事実上決定した。現在「教科外活動」である道徳が格上げされて成績評価対象となり、検定教科書も導入されるという。いよいよ安倍首相の宿願である愛国教育、いや、国民総ネトウヨ化教育が本格化するわけで、きっとその中身はツッコミどころ満載のものになるはずだ。 いや、すでにその兆候は現れているといっていいだろう。今年4月から道徳教育の教科化をにらんで、文部科学省が『私たちの道徳』なるタイトルの教科書を小中学校に配布しているのだが、その中学生版に、あの曽野綾子が「誠実」のお手本として登場しているのだ。 曽野といえば本業は小説家だが、クリスチャンとしてボランティア活動にも取り組んでおり、1995年から2005年までは日本財団会長として途上国支援に飛び回っていたことがしばしばクローズアップされる。だが一方で、彼女は極端な保守エリート主義、しかも大衆侮蔑思想の持ち主と