前回の記事『EM(有用微生物群)の何が問題なのか』では、EMの効果の確認が不十分なまま用途がどんどん拡大されて宣伝されている状況について指摘しました。 EMやその類似商品には様々な動植物の病虫害に効果があるとも宣伝されています。その1つがリンゴ腐らん病です。リンゴ腐らん病は、枝や幹の傷口に子のう菌の1種であるValsa ceratospermaが感染して患部から樹が腐敗していく病気で、特に北海道や東北地方で発生が多いことが知られています。過去には明治後期から昭和初期にかけて大流行して産地の壊滅などもあった、りんご農家にとって深刻な病害です。この病原菌は胞子による空気感染によって広がることが知られています。樹木に腐らん病の病巣が広がると、切り倒さなければなりません。放置すると周囲への感染源ともなります。最近はりんご農家の高齢化や兼業化が進み、まめに病害対策を行いづらくなってきた背景もあり、リ