目覚めてみるとそこには誰の姿もなかった。 昨晩飲んだらしいウィスキーのグラスだけがテーブルの上に残っていた。僕はそれをビートルズ中期のジョン・レノンのような虚ろな目で眺めた。 誰も僕を責めるわけではないし、誰も僕を憎んでいるわけではない。 それでもみんなは僕を避け、どこかで偶然顔を合わせても最もらしい理由を見つけてはすぐに姿を消すようになった。 僕はいま自分の置かれている立場に名前を付ける必要があった。 フロントエンド・エンジニア 僕は口に出して呟いた。なかなか悪くない格言のようにその言葉は一人の部屋に響いた。 僕はていねいに時間をかけて六本の鉛筆をナイフで削り、そして全く使い道のない鉛筆を机の端に並べてからパソコンの電源を入れた。 「ブログを書こう」 ゆっくりと立ち上がったその瞬間に、後ろから僕を呼ぶ声がした。プロジェクトリーダーの声だ。熟練の山師が鉱脈を探し当てるかのように、その声には