奈良先端科学技術大学院大学,大阪大学,九州大学,ニデックの共同研究グループは,眼球に埋め込んで使う人工視覚デバイスを開発した。フレキシブル基板上に形成した半導体チップで電流パルスを発生させて網膜を刺激し,光覚(光が見える感覚)を与えるもの。網膜を刺激するPt(白金)電極の寸法や形状を工夫して,電気刺激に伴う網膜のダメージを抑えた。網膜色素変性症などの疾患を持ち,視力を著しく失った患者に向けるデバイスである。研究グループは,今回開発したデバイスをウサギの眼球に埋め込み,光覚に対応する脳波を観測済み。今後,耐久性や安全性の検証を進めた上で,人間の臨床試験に適用することを目指す。この成果の詳細は,2011年3月24~27日に神奈川工科大学で開催される「2011年春季 第58回 応用物理学関連連合講演会」で発表予定である。