【ソチ=永井順子、増田知基】19歳のエースが世界の頂点に立った——。14日(日本時間15日)のソチ五輪フィギュアスケート男子フリーで、日本男子初の金メダルをつかんだ羽生結弦(ゆづる)選手。東日本大震災を乗り越え、ソチの大舞台で輝いた。 「金メダリストになったこれからがスタート。復興のために出来ることがある」。最後まで被災地を忘れることはなかった。 日本男子初の快挙にもかかわらず、記者会見場の羽生選手に笑顔はなかった。 自らも震災で被災した。「被災者である自分がメダルを取ることで、傷ついた日本を元気づけられれば」と、これまでも公言してきた。しかし、実際に頂点に立つと、「メダリストになっただけでは、復興の手助けにならない。何も出来ていない無力感を感じた」と心境を正直に話した。 2011年3月11日の震災発生時は、仙台市内のリンクで練習中だった。氷が波打ち、壁が壊れる中、スケート靴を履いたまま逃