キズつくのを極度に恐れるガラスの四十代の僕には勝ち方よりも負け方が超重要。知りたいのは、上手な負け方、ダメージを最小限に抑える負け方だが、それらを求めて書店のビジネス本や自己啓発本コーナーを眺めても、たとえば紀州のドン・ファンのように勝った人間の語る勝つ方法ばかりで、お目当てのものは見つからない。せいぜい負けからの奇跡の大逆転勝利ストーリー。稀に自虐的に負けた経験を語る人もいるが、それらは「ビジネスで負けるの正直きっつー…でも僕は人生に負けずに明るく生きていくよ」的な浪花節で、うまい負け方をレクチャーするものではない。「しくじり先生」というテレビ番組も似たようなものだ。身も蓋もないことをいえば、勝つときは何もせずとも勝つのだ。競合ライバルが勝手に自滅したりして。サクセス本というのは本質的にはどれも同じで、これこれをやったから勝ったという体裁こそ取っているが、勝てば官軍といわれるように内容は