何かを作ることは必ず、新たな、別の現実を生み出すことだと考えます。なぜならそこには、かつて存在しなかったものが生まれるからです。 『架空線』澤直哉(港の人) 今月の風蘭さんの書道教室は篆書の臨書。石に刻まれた文字、石鼓文を臨書する。線の質、筆運び、形、太さ細さ、バランス、速度、(ひとまず線を理解するのが目標だが)すべてを鑑みながら書くこと、その書の複雑性はむずかしさとともに楽しさ、面白さの源泉でもあった。 十年前に通っていた中国武術の韓氏意拳の師、光岡英稔氏は指先など先端こそが大事だと仰有られた。そして書を薦めていたのを思い出した。書は先端への意識が研ぎ澄まされると。 中国由来というだけでなく、書と韓氏意拳の共通点は多い。微細な感覚が開かれるというのか、世界を見るまなざしの解像度が増すのを感じる。主観も客観もなく、争われる固着した場所はなく、水のように流れ続け、そしてそれは老いてもなお、と
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