近頃ニュートンのことをよく考えるのですけど、彼は地球上にいてラッキーでした。だってりんごが落ちた。 もし彼が星やその他の物体の影響が無視できるほど空虚な空間にいたとしたら、「万有引力」を見つけられたかどうか、はなはだあやしい。だってりんご落ちない。 ところがある日、通りの向こうから彼女がやってきて「こんにちは」と言いました。 彼は胸がキュッと苦しくなり、手にしていたりんごを取り落とすのですけど、それまで微動だにしなかったりんごは彼女の質量中心に惹かれて落ちはじめます。 りんごは彼女の体に落下することなく、彼女の背中側をぐるりと回って再び彼のもとへ向い、彼の50cmそばを弧を描いて通過し、また彼女のほうへと落ちてゆきます。 まっかなりんごは二つの質量間で永遠に落ち続け、その軌道は二人の質量体の結びつきを象徴するかのようでした。 彼はその力を「恋」と名付けました。そのためその空虚な空間では「万