東南アジアの熱帯林における商業伐採は,有用木を選択的に抜切りする「択伐」方式が主流です。したがって森林伐採そのものでは森林面積は減少しませんが,伐採路の建設や施業の際の下層植生へのダメージや土壌撹乱,大径木が欠損することによる森林構造の変化,伐採後の維持管理の不備*3などにより生物相や多様性への影響は少なからずあります。われわれが試験地を設置したマレーシア・パソ保護林の一部は1950年代の後半に一度択伐を受けた二次林です。この二次林と伐採などの直接的な人為的影響を受けていない天然林との間で,森林構造,野生生物の種多様性などの違いについて調べてみました。