ウォルター・マイケル・ミラー・ジュニアは1923年にフロリダで生まれた。20歳になったばかりのころに第二次世界大戦に出征し、B-25の通信士兼銃手としてイタリア戦線での爆撃に53回も従事した。モンテ・カッシーノの激戦では、ドイツ軍の要衝だったベネディクト派修道院を爆撃する無残な行為を経験し、これはトラウマとなって彼の人生を最後まで苦しめることになった。 戦争が終わり、ミラーはカトリックに改宗した。修道院爆撃という恐ろしい罪への意識を少しでも癒やしたいという気持ちがあったのだろう。彼は自宅の居間に、ロン・コヴィックの写真も飾っていたという。ミラーよりも20歳あまり年下のコヴィックはベトナム戦争で負傷して下半身不随となり、その後反戦運動に転じた人物だ。トム・クルーズの映画『7月4日に生まれて』のモデルとしても知られている。 1950年代に入ってミラーは、いくつかの短編小説を雑誌に発表するように