麻薬は暴力と腐敗を招き、人類にとっては古くから脅威だった。麻薬をなくすための第一歩となるのが、人びとの麻薬消費量を減らすことだ。そこで目下、南米で注目されているのが、麻薬のうち最も幅広く用いられている大麻の合法化だという。ブラジルのカルドーゾ元大統領が、麻薬との戦いの厳しい現実と新たな政策パッケージについて持論を展開する。 フェルナンド・エンリケ・カルドーゾ (Fernando Henrique Cardoso) ブラジル元大統領1931年リオデジャネイロ生まれ。蔵相時代、インフレ抑制に手腕。95年から2期8年ブラジル大統領を務めた。現在は麻薬問題に精力的に取り組む。 PHOTO: REUTERS/AFLO 麻薬との戦いは負け戦だった。 2011年は、「公衆衛生」「人権」「良識(コモンセンス)」に基づく新たな麻薬対策の政策パッケージを追求するため、懲罰的なアプローチに別れを告げる年となる。