最近,薄型テレビの発表会に行くと,不思議な用語が飛び交っている。例えば1920×1080画素を表示するパネルを指して使われる「フルHD」である。多画素化が比較的に容易な液晶テレビやリアプロの関係者が好んで使い,苦手なPDPテレビの関係者は嫌う傾向が強い。つい最近の取材でも,PDPテレビの複数の関係者から「テレビの技術の世界にそんな用語はない。一体誰が定義した言葉なのか・・・」といった強い不満の声を聞く。 この言葉を初めて聞いたとき,私自身は非常に戸惑ったのを覚えている。「フルHDといった場合に,フルはどういう意味を持ち,HDは何を指しているのだろう」と素朴な疑問を感じたからである。テレビの世界でHDといえば連想するのはHDTVであり,そのHDTVには世界共通の定義がある。1080I (1920×1080画素,インタレース)と720P(1280×720画素,プログレッシブ),1080P(19