要旨 理化学研究所(理研)多細胞システム形成研究センター形態形成シグナル研究チームの加藤輝客員研究員、董波(ボ・ドン)元研究員、林茂生チームリーダーらの研究チームは、ショウジョウバエ胚における気管形成過程をライブセルイメージング[1]で詳しく観察し、気管の枝(気管のもとになる上皮細胞[2]の管)が連結する際に起きる“球体からトーラス(ドーナツ)型へ”の細胞の形態変換に、細胞骨格に関わるアクトミオシン[3]と微小管[4]が担う役割を明らかにしました。 生物の体内では、血管、呼吸管など管状組織のネットワークが縦横に張り巡らされ、体の隅々まで血液や酸素を行き渡らせる物質循環が行われています。ショウジョウバエの胚発生では、各体節の気管原基(気管のもとになる組織)に由来する気管の枝が移動し、特定の位置で連結(融合)してネットワークを形成します。先端細胞(気管の枝の先端部に位置する細胞)は枝の移動を先