『人間の条件』における「墓碑」 Posted on 2012/10/15 ハンナ・アレント『人間の条件』(ちくま学芸文庫)を読んでいると、プロローグでこんなくだりがある。 (1957年、スプトーニク1号が打ち上げられたあと) 「(前略)時の勢いにまかせてすぐに現われた反応は、「地球に縛りつけられている人間がようやく地球を脱出する第一歩」という信念であった。しかし、この奇妙な発言は、あるアメリカの報告者がうっかり口をすべらしたというものではなく、二十年以上前にロシアのある大科学者の墓碑名に刻まれた異常な言葉と期せずして呼応していたのである。そこにはこう書かれてあった。「人類は永遠に地球に拘束されたままではいないであろう」。(ちくま学芸文庫、10頁) 人と地球の関係が端的に示されており、まさにこの本にふさわしい幕開けといえるところだが、大事なところが隠されている。 それは、このロシアのある大科
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