神谷は健診の時、母体に触れて、赤ちゃんの成長具合から母親の体調までを手で診ていく。毎回の健診で1時間以上をかけて全身を診ながら、妊娠経過に異常がないか、わずかなことにも目をとめて異変の兆しをみつけ、気になることは早期に手をうち予防する。 全身を触ることで、母親が緊張しやすいタイプなのか、リラックスがうまくできるタイプなのかなども感じ取り、お産の時に備えようとする。 お産には常にリスクがある。時に、命に関わることもある。神谷はお産にたちあう時、いつも、自分の経験に頼らないことを信念としている。お産は百人百様。一人一人が違う。過去に同じような症状で何も問題がなかった妊婦がいたとしても、あえてそのことは忘れ、何かおかしいなと思った時には、常に、なんだろうと、疑問をもつ。経験を積むほど、自分を過信してはいけいないと、自分を戒める。 妊娠から出産までの10か月の間、女性には精神的にも肉体的にもさまざ