アトミズム すでに総論において述べられていたように、共同体主義の基本的な主張は、リ ベラリズムの「個人主義」、つまり個人の「権利」を出発点とする思想に対し、 ある一定の共同体を優先することにあるといってよい。こうした潮流を代表す る人物として、マッキンタイアー、サンデル、テイラー、ウオルツアーらの名 が挙げられるが、彼らの主張にはもちろん違いがある[注]。しかし、彼らにおお よそ共通しているといってよいであろうことは、リベラリズムの前提している 「個人」というものが、実際にはさまざまな道徳的紐帯に結びつけられ、共同 体の中に織り込まれているにもかかわらず、そこから切り離され、抽象化され てしまっていると批判する点である。すなわち、リベラリズムの主張する「個 人」というものが、社会的な紐帯から分離、抽象化された「原子論的(アトミ ステイック)な個人」であるとして批判することが、いわば共同体主