特許のライセンス契約 (矢野 千秋=弁護士:矢野・千葉総合法律事務所) 特許のライセンスも契約によってなされるわけですから、契約一般において注意すべき点はライセンス契約でも同じことです。転ばぬ先の杖、将来起こり得るあらゆる事態、主として種々の形態での契約の不履行に対応しておかねばなりません。重要な内容の契約や、相手方に不安の残るような契約は書面にして確実なものにしておくことも必要です。 しかし、ライセンス契約の対象は無形の特許技術ですので、一般の契約とは異なった注意も必要です。まとめておきましょう。 1. 事前調査 (1)特許の有効性の判断 ライセンス契約に関する特許の有効性の判断が、まず必要です。特許に先行技術文献などの無効事由があるのであれば、むしろ特許をつぶしてしまえばライセンス料の支払いは不要になります。さらに、無効事由がある、そのような文献を保有していることを特許権