試合前、スタジアムの外壁に掲げられた横断幕。この日、日本から3人のサポーターが駆けつけた【宇都宮徹壱】 イエメン戦当日。会場のアリムフシン・スタジアムは、対テロの厳戒態勢とはおよそ程遠い、何とも不思議な雰囲気に包まれていた。 試合前日、現地のメディアオフィサーが「会場内では400人、会場外では600人、合計1000人の警備員を配置する」と豪語していたが、時折、迷彩服の警察官が目の前を横切るだけで、およそ物々しい雰囲気からは程遠い。キックオフ1時間前になって、ようやく警棒と盾を持った警官隊が多数入場してきたが(銃は持っていなかった)、それとてヨーロッパの国内リーグを見慣れた目には、さほど珍しいものでもない。仰ぎ見れば、空は快晴。スタンドに視線を移すと、観客は赤い鉢巻をして念仏のようなリズムのチャントを口ずさんでいる。あまりにも、あまりにものどかなサヌアの午後のひと時。ちなみにスコアボードの