<木庭教さん・スカウト物語>(1997年7月に日刊スポーツ紙上で連載されたものです)<その1> 金の卵を探すプロ野球スカウトにとって今年もまた熱い季節がやってきた。日本ハム木庭教(きにわ・さとし)スカウト(70)は41回目の夏を迎えた。これまで数々の名選手を発掘してきたベテランスカウトの奮戦ぶりを「ザ・スカウト」と題して連載します。 「もう、夏じゃね」。目まいがしそうなほど強烈な日差しを見上げながら木庭はポツリとつぶやいた。木庭にとって一年の中で一番好きな季節がやってきた。春先に目をつけておいた高校生がどれくらい成長しているか。28日で71歳になるが、ワクワクする気持ちは若いころと少しも変わらない。 担当地区を持たない遊軍スカウトの木庭に今年、ある指令が下った。その指令とは「サウスポーを獲得せよ」。日本ハムは左投手が不足している。ピッチャーは一、二軍合わせて29人いるが左腕は5人だけ。他の