薬や健康食品の宣伝を巡り、その「効果」が偶然でないと確信できる根拠は何だろう。「効果がある」と言われても、どの程度に受け止めればいいのだろうか。確かな医療を紹介するシリーズ「賢い選択--真贋(しんがん)を見抜く」の最終回は、統計の見方を巡る「落とし穴」について取り上げる。 ●本当に効果あり? 「有意差あり」--。健康食品などの宣伝に書かれた臨床試験のデータで、こんな用語を見たことはないだろうか。効果があるかのようにみえるが、一体どんな意味があるのだろう。 「『有意差あり』とは『偶然にできた差ではない』、つまり『必然』ということなんです」。臨床研究について詳しい島根大病院の大野智教授はこう解説する。