平成23年版防衛白書は、軍事力の急速な近代化を進め、東シナ海や南シナ海で海洋覇権拡大を図っている中国への懸念をこれまで以上に鮮明に打ち出した。 周辺諸国との対立で中国が示す姿勢を「高圧的」と指摘し、中国海軍や海洋調査船、漁業監視船などによる活動が「常態化」しているとした。 7月31日に沖縄・尖閣諸島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)で、中国の海洋調査船「北斗」が水質調査のような行動をとっているのが確認され、海上保安庁が調査中止を呼びかけても応答せず約9時間も居座ったことに、それは如実に表れている。 問題は、中国の軍事力強大化に日本がなすすべもないことだ。防衛費を削減する一方、専守防衛にしばられ、実効性ある防衛力を構築してこなかったためである。 防衛費は9年連続で削減が続いている。国連平和維持活動(PKO)や海賊対処など自衛隊の任務は増える一方なのに、陸上自衛隊の定員は15万5千人から15万