「夢精は凄い気持ちが良い」ときくが、たいして気持ちよくはなかった。 あるのはただ「面倒なことになった。出社までパンツを洗わなければ」という嘆きだけであった。 思えば曖昧な夢の中では確かにある程度の気持ちよさはあったのだが、夢の中のボンヤリとした感覚の中で得られる快感は目を醒ましている時のソレよりもおぼろげで、朝っぱらからパンツを流しで洗い、射精後の気怠い身体で一日を始めることには見合うとは思えなかった。 だが、後悔はない。 あの夢の中で安直な濡れ場に流されることを拒絶しなかった事に後悔はない。 夢精というものを己の身体で知ることがなければ、夢精を語ることは永遠に出来まい。 私は夢精を語れぬ人生から夢精を語れる人生へと生まれ変わったのだ。 手を触れることなく射精をするという経験も初めてであった。 ただ粘膜を己の手やシリコンで擦る事しか知らぬ人生から卒業したのである。 ああ、それにしても夢精と
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