◇“祭り”後も「地道に鮮烈」 昨年、最も話題を集めた美術家は、生誕100年の岡本太郎だろう。東京国立近代美術館での大規模回顧展をはじめ、イベント、生涯のドラマ化、大型画集や著作選集の刊行など、多方面から紹介された。 「ファンのすそ野が年齢層の上にも下にもグンと広がったと実感します」。川崎市岡本太郎美術館の片岡香学芸員が振り返る。 “お祭り”が終わった今、主要作品の保存・公開と調査研究を担う同美術館は、新たな役割を意識しているのだろうか。「いいえ、今までと変わりません」と片岡さん。「地道な調査を続け、常に違う視点での考察を心がけています」 「いつもとちがう常設展」と銘打った「岡本太郎 迷宮を行く」展(7月8日まで)は、その姿勢を明確に示す。絵画「重工業」「森の掟(おきて)」、彫刻「午後の日」など代表作約100点を一挙に展示。広い企画展示室を使い、モチーフが共通する絵画を並べたり、異なる素材で