『クイックジャパン(太田出版)』、『文藝(河出書房新社)』、『生理ちゃん(KADOKAWA)』など人気タイトルを数多く手がけてきたブックデザイナーの佐藤亜沙美さん。装丁や本づくりへの思いを語ってもらった。 そんな佐藤さんは意外にも「本のない家」で子ども時代を過ごしたと話す。それでも本づくりに携わる仕事に就いたのはなぜ? 本はルールをちょっと外すと刺激的になる 佐藤)学生のころに、デザインの勉強をはじめました。そのあと働き始めた出版社のデザイン室は、ひとりひとりがプレイヤーで、誰かに教わるという環境ではなかったんです。それで私は毎日本屋に通っていました。 本を眺めながら、私には何が足りないんだろう?と考えていました。書店で刺激的な装丁に出会うと、自分にとって新鮮に映るデザインには必ず新しい要素と古い要素が混在していると気づきました。 70年代くらいの装丁はとくに今よりも「売り」を意識していな