門出を祝う春、晴れやかな気持ちで巣立つことができなかった子どもたちがいる。神奈川朝鮮中高級学校(横浜市神奈川区)で、高校にあたる高級部の生徒が卒業を迎えた。高校無償化制度が始まって3年、一度も適用を受けることなく学びやを離れる。心に刻まれた疎外感は小さくないだろう。 生徒たちにとって政治に翻弄(ほんろう)された3年間だった。 制度開始は卒業生が1年生だった2009年。だが北朝鮮への制裁と関連づけられ、適用は見送られた。 10年11月には北朝鮮の韓国砲撃を受け、当時の菅直人首相が審査手続きを凍結。退任直前の昨年8月、南北対話の再開を踏まえて手続き再開を指示した。続いて政権を担った野田佳彦首相は北朝鮮による拉致被害者家族会の意向を酌んで厳正な審査を命じ、その後、結論は出されていない。 この間、朝鮮学校をめぐり、ないがしろにされてきた原則がある。 まず、政治と教育は切り離して考えるべき