変わらぬ米国の戦略 先日、米国の先端科学技術に関する新聞記事を目にした。 核兵器の性能維持を目的とした世界最大のレーザー実験装置「国立点火施設」というもので、そこではミクロの核爆発が実現でき、実際の核実験に匹敵する情報が得られるという。 米国のオバマ大統領は4月5日、チェコのプラハでの演説で「核のない世界」を唱え、包括的核実験禁止条約の早期発効を目指すと公言した。 しかし、言葉巧みな演説とは裏腹に、米国は既存の核兵器の性能を引き続き維持していくための施設も建設しているのである。5大国による核の独占に特徴付けられるNPT体制を引き続き維持していくという、米国の強い意思表示として理解せざるをえない。 オバマ大統領はまた、核兵器が存在するかぎりは、抑止のための核戦力を維持するとも述べている。1945年に核兵器が誕生して以来、米国の安全保障政策の中核を担ってきた核抑止戦略に劇的な変更をもた