昨年ブームになった小説「蟹工船」の作者、小林多喜二は1933年、特高警察の拷問で殺された。戦前の治安維持法のもとで、共産主義を広めたとして弾圧されたのだ。 こうした言論弾圧の中でも最大とされるのが、戦争中の横浜事件だ。敗戦までの3年間に、雑誌編集者ら約60人が神奈川県警特高課に検挙された。 総合雑誌の編集会議で、論文の掲載に賛成する。逮捕された評論家の家族を助けるためカンパをする。そんな行為が「犯罪」としてでっちあげられ、半数が有罪判決を受けた。4人は獄死した。元被告らは名誉を回復するためにこの23年間、再審裁判による無罪宣告を求めてきた。 その第4次再審請求で横浜地裁は今週、「無罪」ではなく単に裁判を打ち切るという「免訴」を言い渡した。 再審請求では3次で再審の扉が開いたが、最高裁は昨年、免訴の判断をした。治安維持法は戦後廃止され、元被告らは大赦を受けた。これは有罪判決当時の刑事