趣味は何ですか? と訊かれて「クラシック音楽鑑賞」と答える人は、無邪気な人だ。 まったくクラシックを聴かない人から「お高くとまっている」と思われていることも知らないし、クラシック音楽にどっぷり浸かっているクラシックマニアから「何も知らないくせに」と内心軽蔑されていることに気づいていない。だから、クラシックマニアは不用意に「趣味はクラシック」なんて答えない。 かくいう私は、「クラシックが趣味」と公言することの怖さが分かる程度の「クラシック憧れ人」だが、そんな私から見ると、クラシックファンにはスゴい人が多いのに驚く。 交響曲といえばまだベートーベンの「運命」と「第九」くらいしか知らない高校1年の夏、訪ねた友人の部屋にクラシックレコードが300枚も並んでいるのを見て、あ然としたことがある。また、会社の先輩の中には「フルトヴェングラーの現存する録音を全て集めるのが趣味」という猛者がいたし、「同じ曲
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