マイケル・ジャクソンの悪夢 悪夢とは、たいてい現実でよく知っている物事が壊れた姿をしている。たとえば短編のひとつ、「蛇」がそうだ。ビジュアルノベルの構成を取っており、選んだ選択肢によってエンディングが分岐するものである。 だがこの短編が記憶に刻み込まれるのは、みんながよく知る世界的スターが登場することだ。しかもゲームをスタートした瞬間、禍々しいかたちで現れる。たとえばこんな具合だ。 「朝の4時、 “ライムライト”という店で僕と会ってほしい」夜、ゆっくりと眠っていたときに、スマートフォンの猫の鳴き声みたいな通知音で目を覚ます。通知に目を向けると、唐突なお誘いのメッセージがただ一言あった。 普通なら削除して終わりだが、差出人の名前を見て考え込んだ。マイケル・ジャクソン。2009年に亡くなったスーパースターからのメッセージは、友達からのセンスのないジョークだと思った。 「そのまま無視して眠る」選