【バンコク=深沢淳一】寺院などの遺跡群で知られるタイ中部のアユタヤが大洪水に見舞われ、遺跡や日系企業が集まる工業団地が水没するなど、被害が深刻化している。 アユタヤの五つの工業団地のうち、バンコクから北に約80キロの日系自動車部品メーカーなどが操業するサハラタナナコン工業団地では5日、40以上の工場が冠水し、生産設備が水没した。関係者は「再開に3~5か月かかる」という。 別の工業団地にあるホンダの自動車工場は現時点で無事だが、部品調達が滞ったため、4日に生産を停止し、再開のめどは立っていない。他の日系自動車メーカーにも部品不足の影響が広がる可能性がある。 遺跡の被害も深刻だ。地元紙によると、17世紀に建てられた寺院「ワット・チャイワッタナラーム」や山田長政で知られる日本人町跡などの文化遺産が冠水し、腐食や損傷の恐れがある。タイでは7月からの大雨で中部以北で洪水が広がり、220人以上が死亡し